2021年1月3日日曜日

"戦わない”という戦略 -年頭の挨拶にかえて

明けましておめでとうございます

皆さん明けましておめでとうございます。コロナウィルス感染拡大第3波の影響で、この年末年始は帰省や旅行はせず自宅で過ごした人が多かったのではないでしょうか。離れた家族とリモートで同じおせち料理を楽しむための、「自宅用・贈答用のお揃いおせち」なるものも販売されていたそうで、物理的な距離は離れていても家族の絆を保つためのアイディアがたくさん生まれていると感じます。


旅は人生になくてはならない存在

コロナウィルスの真の恐ろしさは、ウィルスに感染することよりも、”未知が引き起こす不安感や恐怖感”にあると思います。人は不安や恐怖にかられるとパニック状態になって正しい判断ができなくなってしまう。そのことが人の心や身体に与える影響、さらに経済に与えるインパクトは計り知れません。コロナの収束時期については様々な憶測がとびかいますが、少なくとも2021年いっぱいは”ウィルスの脅威”と対峙し続けることになるでしょう。しかし、ウィルスに関する調査が進み、ワクチン接種が始まり、人々の免疫が高まることで、”ウィルスの恐怖”は徐々に消えてくると思います。正しい知識をもって、正しい対策とともに心から人生を愉しめる日を早く取り戻したいものです。

一方、GoToトラベルキャンペーンによって一気に人が動いたことなどを見ると、ストレス下にあればあるほど人は旅に癒しを求めます。人は”次の旅”のために日々の仕事や家事、育児を乗り切ろうという気持ちで頑張っている。だから、コロナ禍で旅に出られなくなることでストレスのはけ口を失い、不満を増大させ、旅を切望するようになりました。コロナウィルスは旅行業に壊滅的な打撃をもたらしましたがそれはあくまで一時的なことにすぎません。旅は日々の生活必需品ではないものの、”人生になくてはならない存在”であり、今後AIやVRなどのデジタル技術によって置き換わることもありません。コロナによって旅行業界の将来性について憂慮する声もありますが、私は逆にコロナによって旅の存在価値がさらに際立ったのではないかと感じています。


危機下こそ原点に立ち戻る

2021年もコロナの脅威は続くと見ていますが、こうした危機下にあるときこそ会社の原点を見つめなおすことが大切です。ゆこゆこが社会に存在し、私たちがゆこゆこで仕事をしている意義と、この会社がこれまで20年間生き抜いてきた価値の源を再認識することで、気持ちをひとつにして危機を乗り切ることができるからです。

ゆこゆこは、「60代以上を中心とした会員の皆様に心豊かで幸せな人生を愉しんでいただきたい」という思いのもと、会員の皆さん、宿の皆さん、そして社員同士の心の繋がりと信頼づくりを大切にして事業を続けてきました。人生の豊かさや愉しさは心の繋がりのうえに成り立っています。だからこそ、この価値観は私たちの思いを実現するための根本的な思想だと言えます。

私たちは単に宿から仕入れた部屋を売っているのではありません。お客様がゆこゆこ本誌やネットを見ながら次はどこに行こうかと思いを巡らせる高揚感、カスタマーセンターで会話をしながら旅の計画や予約ができる安心感、送られてくる現地情報とともに出発日を迎える期待感、期待通りの温泉・食事・もてなしをうける満足感、万が一のトラブルや不満があっても真摯に応えてくれる信頼感、旅の思い出を振り返りながらする会話の充実感、こうしたゆこゆこ体験の全てが私たちの提供するサービスです。ネットで部屋を売る、電話で予約を代行する、その機能だけであれば、やろうと思えば誰にでもできます。しかし、一連のゆこゆこ体験によってもたらされる情緒的価値(○○感)は決して誰にも真似のできるものではありません。

冒頭にも言いましたが、不安や恐怖は人に迷いをもたらし正しい判断ができなくなってしまいます。リモートワークが中心の働き方になり、仲間たちと物理的な距離がある環境だと、自分がどこにいて、どこを目指し、なんのために仕事をしているのかを見失い、それが不安を引き起こします。そのような危機的状況下にある時こそ原点に立ち戻り、目指すべきビジョンや大切にしている価値観、ゆこゆこの真価を全員で再認識して、共感、共鳴すること。これが組織の力につながります。2021年は組織の共感力を高めることに注力して、皆さんの仕事に対する意欲の土台作りをしていきたいと思います。


戦わない戦略 -劣位解消ではなく優位伸長

2021年の事業方針ですが、”戦わない”ということを意識したいと思います。当社はこれまでの数年間、競合OTAの動向やビジネススケールを意識しすぎるあまり、大切にすべきことや本来の価値を見失っていたように感じます。様々な環境変化に対応してサービス内容を進化させていくことは重要です。しかしそれは先行している競合他社に追いつこうとすることではなく、お客様が真に求めていること、お客様の人生の愉しみにつながること、当社の理念にもとづいたことでなければいけないと認識を新たにしました。

故スティーブ・ジョブスは
『美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを見極めることが重要なんだ。』
と言っています。

数多くの会員の皆さんがゆこゆこ体験に価値を感じてくれています。その人たちが何を望んでいて、もっとゆこゆこのファンになってもらうためにはどうしたらよいか、それを見極めなければいけません。意識を向けるべきは競合劣位の解消ではありません。ゆこゆこの優位性をもっと伸ばし、ファンを増やし、ひとりでも多くの人に豊かで幸せな人生を愉しんでもらうこと。2021年は”戦わない”戦略で、劣位解消ではなく優位伸長を重視します。そして、顧客視点、顧客接点、VOC(Voice of Customer)を大切にしたCRM、コミュニケーションの設計を目指していきたいと思います。

旅行業界の将来性を憂慮する声もありますが、旅は心のオアシスであり人生の必需品、決して需要がなくなることはありません。しばらくの間はコロナの感染状況に応じて、急ハンドル、急アクセル、急ブレーキといった荒々しい運転が続くかもしれませんが、心の絆という安全ベルトをしっかりしめてついてきてください。私たちが目指すところは今も昔も変わりません。理念を大切に心をひとつにして進んでいきましょう!

2021年もよろしくお願いします。


あとがき

①皆さんの家はどんなお雑煮を食べていますか?地域によって、出汁、具材、もちの形など様々ですよね。ちなみに、我が家(妻の実家)は、鯛雑煮です。1匹まるごと焼いた鯛のお汁に餅、なると、ミツバ、柚子の皮を入れて食べます。シンプルですが鯛の出汁が良く出ていてとても美味しいです!個人的には、香川の白みそのあんこ丸餅も気になる。。。


②逃げ恥 新春スペシャルを見ました。実は今回のスペシャルのみくりと平匡が住むマンションロケ地は私の住んでいるマンションでした。撮影時はやじうまがすごく大騒ぎだったのですが、さすが完成した映像をみるととても静かな住宅地に感じますね。しかしこのドラマ、今の日本の様々な課題が盛り込まれています。共働きの家事分担、女性の社会進出・産休育休、男性の育休取得、同性愛、ハラスメント、夫婦別姓、コロナ禍での心の絆などなど。公私ともに色々と考えさせられるドラマでした。


③うまれて!ウーモって知っていますか?うちのぬいぐるみ男子のクリスマスプレゼントでした。はじめは高さ30cmくらいのたまごなのですが、撫でたり、あたためてあげたりすると、たまごを破って中からウーモ(結構衝撃的なビジュアル)という赤ちゃんが出てくるという母性を刺激するおもちゃです。私はてっきり、1週間から10日くらい卵をあたため続け、その苦労のかいあって無事に生まれてきた感動を味わうものだと思っていました。ところが、息子があたため始めてから20分後、「あっ、うまれる!」の声が。まさかー、まだ20分だよ。壊しちゃったんじゃないの?と言いつつ、グーグル先生に聞いてみると、生まれるまでの時間は平均40分、早くて20分、、、 20分では感動が少ないのは言うまでもありません。